大男が騒がしく踊っていたり、そもそも人間でもないような生命体が老人を囲んで桜を眺めていたり……
その異様な光景は真ん中に行けば行くほど正常化していき、中心には銀髪の映える困惑顔の少年がいた。
「えっと…こんなことしていていいのかな?」
「いいんですよぉ」
「そうなのじゃ」
無邪気に飲み食いをしているミアキスとリムの返答はさらに困惑させるだけで、何かに縋るように反対側の少女へと問いかける。
「でもさ、この大事な時期に皆総出でって太陽宮のほうは放っておいていいの?」
「それなら心配に及びません、殿下。この宴会自体が王家とレインウォール間の確執が無いことをアピールするものですし、さらには殿下達が来ることを事前に通達もしてラフトフリートの方々にも協力を仰ぎましたから街の活性化にも繋がると思います」
「ルセリナがそういうならそれでいいんだけどさ……」
「それにちょっとした休暇も兼ね備えてありますから、日ごろ激務で疲れている皆さんには丁度良いかと……」
「そうですよ、王子」
ルセリナに合いの手を入れたのは後ろに立っているリオンだ。
護衛らしく一歩ひいているのは職務に忠実だといえるが、相槌を入れた会話の内容との不一致には苦笑を洩らさずにいられない。
「リオンにもそれを言えると思うんだけど……」
「私は王子の護衛ですから」
「………」
返答に困りながらルセリナと視線を合わせて、苦笑いを浮かべる。
ダメだ、これは。
ただ、そのシンクロもふとルセリナの膝元にある書類の束を見つけて脆くも崩れ去り、オングが表情を変えた。
酒代、場所代、見積もり……
どう見ても今回の宴会の書類だ。
それを電光石火の早業で取り上げる。
「で、殿下!」
「ルセリナもリオンのこといえないじゃないか」
「ですが…」
「ですがも何もないよ。リオンはともかくルセリナは久しぶりに戻ってきたんだから」
「………」
「………………」
周りの騒がしさはどこへやら。
黙したままにらみ合い、結局ルセリナが視線をそらして折れた。
その頬が少々紅いのはオングの知るところではなく、小さく拳を握って、嬉々としてコップに飲み物を注いで、渡す。
ただ、そのコップはそれまでオングが使っていたもので、それに気づいていないのか満面の笑顔だ。
少々だったはずの頬の紅潮はさらに増して、しかし意を決してコップに口をつける。
殿下の誘いを断るのは失礼だし、どうせ口をつけていたとしても一箇所だから大丈夫などと心の中で言い訳しつつ、味もわからなくなりながら中身を飲み干す。
ルセリナの努力を知ってかしらずかオングはにこやかに笑い、満足げなオングの表情を見るとルセリナもどこか落ち着いてくるように感じた。
「理解してくれて嬉しいよ」
「い、いえ……」
「あ、でもこれって…」
そんなルセリナの内心を裏切るようにオングは戸惑った表情を浮かべて、安堵している彼女の耳元でささやいた。
『間接キスかな?』
目を白黒させ、気の毒なほど顔を真っ赤にさせるルセリナにオングはさっきの困惑顔などどこかへ忘れ去ったがごとく微笑んだ。
幻水Xクリア記念に一本書いてみましたとさ。
ちなみにオングが王子の名前です。
計算高くて黒いです。
ルクレティアと妙に気が合うそうです。
ちなみに私は王ルセが好きです。
本編じゃ王←ルセだけど、二次創作くらい王子攻めでもいいと思いません?
【日記の最新記事】


![Powered by 269g[ブログ・ジー]](http://269g.jp/img/269g.gif)